かけがえのない人生を送られた故人様に対し、
心から労いと感謝を伝えたいものです。
湯灌とは、ご納棺の前に故人様に
最期の身支度を整えてさしあげる為の
貴重なお時間となります。
故人様を大切に想う方々が見守り、
あたたかい手とお気持ちを持って
「ありがとうの想い」を伝えてあげる事で、
それが故人様にとって何よりも大きな安心感となり、
そして何よりのご供養へと繋がるのではないでしょうか…
ご遺族の方が故人様の最期のお世話にたずさわる事で、想いを伝えるだけではなく、悲しみのお時間を思い出のお時間にかえる為の大切な絆のお時間がつくられる事と思います。お通夜、告別式は故人様とお世話になった沢山の方々のお別れの時間ですが、湯灌は故人様とご家族の為のお別れの場であり時間です。故人様に対する愛情の心のある方が見守る中で行われることに意義があります。
人間なら誰でも持つ煩悩(悩みや苦しみ、欲や執着心など)をお湯と共に洗い流し、身も心も綺麗になられて極楽往生なさって頂く。また使用するお湯が来世の産湯に繋がるともいわれております。
ご遺体は亡くなった時点で腐敗が始まります。腐敗の進行を遅らせる方法は冷やす事が最大の効果ではありますが、湯灌は殺菌性のある特殊な石鹸とシャンプーで全身を洗う為、皮膚上の細菌を取り除く効果があります。
また、病院で綺麗にしてきたからお風呂まで必要ないというお声もありますが、それと同じく病院で長い間お風呂に入れなかったというお声も多くございます。特にお髪は拭くだけでは汚れを落とす事は難しいと思われます。湯灌ではシャンプー以外にリンス、ドライヤーも使用致します。
Q.湯灌とは簡単にいうとどういう事ですか?
―――A.湯灌とは、亡くなられた方の身も心もきれいにする事をいいます。
Q.湯灌はどれくらい時間がかかりますか?
―――A.故人様の状態や環境によって変わりますが、準備を含めまして約1時間~1時間30分程お時間をいただきます。
Q.家のお風呂に入れるの?
―――A.専用車で伺い、お部屋に浴槽を運び入れさせて頂き行いますので、故人様をお入れする事はございません。また、会館の中でさせて頂く事も多くあります。
Q.湯灌を行う際、どれくらいのスペースが必要ですか?
―――A.畳4畳ほどの空きスペースがあれば湯灌は可能ですが、自宅で湯灌をする場合はお部屋にタンスや机などがある場合は6畳ぐらいが必要です。また、会館の中でさせて頂く際は、充分なスペースを設けておりますのでご安心ください。
Q.湯灌をするにあたってご自宅で用意しなければならないものはありますか?
―――A.専用車両に必要な機材を全て積んでからご自宅に伺いますが、湯灌を行う為に外部から車へ電源をとる必要がございます。またお髪を乾かす際にドライヤーも使わせて頂きますので、コンセントをお借りさせて頂きます。
Q.身体に傷があるのですが湯灌はお願いできますか?
―――A.お身体の状態にあわせて手当をさせて頂きますのでご安心ください。
Q.病院からすでに綺麗にしてきたのに、また湯灌をする必要はあるのでしょうか?
―――A.もちろん看護師さんが綺麗にしてくださっていると思いますが、病院で行う事はどちらかというと死後処置の意味合いで行うことがメインとなります。湯灌はお身体を綺麗にするという衛生的な事と、更に「精神面」での意味合いがございます。湯を灌ぐ(そそぐ)と書いて湯灌と呼びますように、お湯を灌ぐ事によって、ご生前の悩みや苦しみである煩悩をお湯と共に洗い流し、身も心も綺麗になって極楽往生なさっていただきたいという思いと、湯灌で使用するお湯が来世の産湯につながって欲しいという生まれ変わりを願うという意味で、古来より行われてきている精神性の強い儀式です。
また、入院生活の中でお風呂に入りたくても入れなかったという方がたくさんおられますので、体を拭くだけでなくお湯と石鹸、シャンプーを使うことで本当に綺麗になられます。